理事長所信

第53代理事長
大崎 厚郎

2017年度 公益社団法人 鎌倉青年会議所 理事長所信

理事長 大崎 厚郎



公益社団法人 鎌倉青年会議所 まちづくりビジョン(1991年制定)
「思いやりのある鎌倉 歴史と未来がふれあうまち
      人つどうまち 心かようまち」

公益社団法人 鎌倉青年会議所 中期ビジョン(2014年制定)
「IZA!鎌倉」〜刻を紡ぐまち まちが育むひと ひとが創るまち〜


2017年度 テーマ 「絆をつなぐ」
2017年度 スローガン
 「まちを想い、繋がりを広げよう」

【はじめに】
 我々の住み暮す日本は先達の高い志により成し遂げられた高度経済成長の後、バブル経済の崩壊から始まる長い不況時代を抜け出ようと努力しています。未来には2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催も控えており、本五輪が人々に夢を与える明るい兆しとなる事は言うまでもありません。しかし、一方で押し寄せる少子高齢化社会にも関わらず、年を取った親の介護や不況時代に育ち就職が難しかった子供の援助などで、今日まで社会の発展の為に身を粉にして働いてきた世代に起きている老後破綻や、我々が守らなければならない未来であるはずの子供達の貧困など、周りからは気付く事が難しく法律や制度だけでは改善し難い課題も存在します。地域社会の弱まりを起因とする諸問題は、市民に得体の知れない不安感を与え、明るい未来を想像する事を困難にしています。その原因は、物質的に豊かになりあらゆる物の利便性が高まった為に、人間関係の希薄化が進み、地域間での繋がりが脆弱になった為に起きている問題だと考えます。明るい豊かな社会の実現の為には、子供に限らず隣人同士がお互いを知り、日本人が大切にしてきた思いやりともいえる互助の精神を高める事で人と人、人と地域、地域と地域の絆を結び繋がりの強い社会を創りだす必要があります。今改めて、鎌倉青年会議所が市民とまちとの関わり方や、身近なものの大切さを周囲に伝え続ける事で絆の輪を大きくしていきます。一人で問題を解決する事が困難な人達が周囲を頼れる地域社会を創る事で、次世代を担う子供達が健全に育つと共に、全ての人々が、繋がりから生まれる明るい未来を感じる事が出来る社会の実現を目指します。

【人と人の繋がりから始まる絆】
 人の繋がりを築いていく為には、人と触れ合いお互いを知る事が何よりも大事であり、その輪を大きくしていく事が、地域の未来を育む事に繋がると考えます。子供達の育成には、地域社会の繋がりを発展させる事が最重要課題の一つだと言えます。人が人を信用し安心して暮らせるまちであれば、子供達も健全に育つ環境であると言えるのではないでしょうか。言い換えれば、まちが子供を育て、人を成長させるのだと考えます。しかしながら、昨今の子供の貧困問題や親からの虐待などを鑑みると、子供達は自分達の手で環境を変える力を持ちあわせてはいません。その為、学校や家庭だけではなく地域として健やかな子供を育てていく取組みが必要であると考えます。これには、互助の精神が必要であり、この精神を高めていく為には、人とまちや行政が信頼し合える強い関係性を創らなくてはなりません。自分の事だけではなく、他人を思いやり助け合うことで人の為になり、人の為になれば、まちの為になり、まちが良くなれば市民の為になる。まちに思いやりを育む為に絆が必要であると市民にもご賛同を頂けるまちづくり事業を行ってまいります。  そして、当会議所設立5周年の記念事業として開催された慈善茶会は昨年、48回目を無事に開催する事が出来ました。これもひとえに毎年お献茶式を行って下さいます茶道裏千家千宗室御家元、快く会場をお貸しくださる大仏殿高徳院佐藤孝雄御住職、本事業を開催するに当たりご協力を頂いております茶道関係者の皆様、そして当日ご来場を頂いている皆様の御理解と御協力の賜物であり、関係する全ての方々に対して心より感謝を申し上げます。茶道とは人を敬い物事に動じない心を生み出していく精神文化であると聞いた事が有ります。人を敬い助け合う互助の精神を基に我々が行っている運動をご覧いただき、地域の繋がりを広げることの重要性を関係諸団体や御来場者の皆様に発信してまいります。また、来年には50周年を迎える慈善茶会の在り方を見つめなおし、どの様に発展させていくのかを明示する機会とさせて頂きます。

【会員研修から始まる絆創り】
 青年会議所の大きな魅力の一つに会員の成長が挙げられます。全ての事業を自分達の手で一から作り上げる楽しさや辛さを経験する事で、自分では気がつかないうちに成長をする事ができます。しかしながら、近年では経験が少ないまま当会議所の要職を担う会員が増えており、楽しさや喜びを感じる間も無く、厳しい環境の中で活動をしているのも事実です。一人の力には限界がある事を知り、歴史と伝統を守りながら仲間同士で事業を作り上げる事は、更なる会員の成長に繋がると確信しております。会員がJC活動を楽しく行う事を通じて、経験が浅くともまちの為になる事業が作れるという事だけでは無く、自らの修練となる事を学ぶ。その学びは当会議所が全体の力を増幅し、地域で必要とされるまちのリーダーを育成する為に必要であると考えます。培ったスキルを基に当会議所の情報を市民や関係諸団体の皆様に親しみやすく発信していく事で、我々が行う運動を広く伝播していくと共に、当会議所の事業に多くの方々のご参加を頂ければ地域に輪を広げていく事が出来ると確信いたします。また、他団体や会員自身の会社においてもJCで学んだ知識や能力を発揮する事は、会員とその周りの人の人生をも豊かにする事に繋がり、ひいてはまちも豊かになると信じております。

【広がる絆と会員拡大】
 本年度、当会議所の会員数は33名でスタートをします。定年制がある青年会議所では、何もせずに時が経てばおのずと会員は減少します。大切なものの見えにくい時代に青年会議所活動をする事は難しくなっておりますが、逆に言えば今こそ我々の運動が地域に必要であり運動の推進力を高める為に会員拡大が必要であるという事を、会全体で改めて認識した上で拡大を行っていく必要性があります。また、年々会員数が減る事で及ぼされる影響を考えると、一番大きな影響はまちへの発信力であります。会員が増え運動の推進力が高まれば、当会議所の運動が地域に広がり輪も大きくなり、我々の想いはまちの中に派生していきます。この広がり続ける輪を常に増やし大きくしていく事こそが、我々の運動の原点であると考えます。拡大は唯一の継続事業であると言われます。事業であるならば時代が変わればその手法もおのずと変わってきます。渉外業務を行う事で当会議所も地域の輪に交わりながら委員会を中心に会全体で会員拡大に取り組み、鎌倉ならではの拡大手法の確立を目指すと共に、我々の運動にご理解を頂ける賛同者を増やす事で仲間を増やしていく活動に繋げてまいります。

【適切な組織運営】
 青年会議所は多くの考え方やそれぞれの価値観を持った会員で成り立っています。会員同士が色々な観点から様々な議論を重ねながらも同じ方向性を持って進む事の出来る会議法や組織運営は、当会議所自体を維持すると共に活発な運動を支えていく為にとても重要です。円滑な組織の運営で会の運動を下支えする為に、総会や理事会を始めとする当会議所の意思決定機関の厳正な運営と、公益社団法人としての適切な財務管理を行い、会員間の信頼関係を構築し当会議所内の輪を厚くします。また、我々の活動にご協力を頂いている関係諸団体の皆様や先輩諸氏との交流事業を行う事で繋がりを広げると同時に、今まで培われた当会議所の歴史と伝統へ敬意と感謝を示し、我々の事業を広く発信してまいります。また、青年会議所でなくては得る事の出来ない貴重な出会いと自己研鑽の場を日本青年会議所本会、関東地区協議会、神奈川ブロック協議会は与えてくれます。その貴重な機会を逃す事なく積極的に生かしていく事で出向者への支援、協力を行ってまいります。

【おわりに】
 青年会議所運動そのものが我々の住み暮すまちを良くしたいと思う互助の精神で成り立つと考えています。何故良くしたいのか、理由は会員それぞれ違いますが目的は皆同じであります。まちを良くするには人やまちとの絆を更に深くし、当会議所内だけでは無く本音で語り合える仲間をまちに増やさなくてはなりません。時代に合ったまちの発展が大切であることは間違いありませんが、歴史や自然が豊かな鎌倉に合ったまちづくりを目指します。このまちに住む人々が絆を深める事でまちに愛着をもてれば更に住み暮しやすくなると確信しています。青年会議所に入会せずに過ごしていたら知り合えなかった大切な仲間達。この仲間と共にまちに必要とされる団体としての誇りと目的意識を胸に、先輩たちが築いて来られた伝統ある鎌倉青年会議所を今年一年間、牽引させて頂きます。
我々の住む鎌倉に我々が存在する意義を確かめ未来の為に精一杯活動してまいります。
一年間、どうぞ宜しくお願い申し上げます。