2013年度 公益社団法人 鎌倉青年会議所 理事長所信
理事長 酒井 武士
公益社団法人 鎌倉青年会議所 まちづくりビジョン(1991年制定)
「思いやりのある鎌倉 歴史と未来がふれあうまち
人つどうまち 心かようまち」
公益社団法人 鎌倉青年会議所 まちづくりテーマ(2009年〜2013年)
「地域力あふれるまち かまくら」
〜協働の先に見えるコミュニティエンパワーメント〜
公益社団法人 鎌倉青年会議所 中期ビジョン(2011年制定)
「IZA 鎌倉」〜刻を紡ぐまち まちが育むひと ひとが創るまち〜
2013年度 テーマ 「精神一到」
2013年度 スローガン 「今こそ挑み、成し遂げよ 志と勇気を胸に」
【はじめに】
青年会議所は何を目指して活動している団体なのでしょうか。「明るい豊かな社会の創造」という普遍的なテーマに則りつつ、各地域において運動展開を永きに亘って展開して来たその原動力は何か。その根底にあるものは「郷土愛」という言葉に集約されると私は考えます。己が住み仕事をし、家族と共に生活するこのまちがより良いものであって欲しいという単純なまでの理想と欲求、それを体現するべく日々の活動を行っていると考えます。そしてそこには日本人らしい、他者への気遣いを根幹とする奉仕の心と青年期の成長において欠くことの出来ない自己研鑽があり、経験を通じて培われた関係は友というかけがえの無い絆として、青年会議所運動の礎となっているのです。
さて、私たちのまち鎌倉に青年会議所が誕生して約半世紀。まちの環境や世相は変化を続け、青年会議所を取り巻く状況も大いに変わったと考えます。鎌倉という地においては行政や各種団体が活発に活動を行っており、所謂「まち興し」的な運動はそぐわないと考えます。他の団体ではなく、「青年会議所」として活動する事の意味を。そして他の都市ではなく「鎌倉」という土地に、地域に求められる青年会議所として。鎌倉らしい街、鎌倉らしい人、鎌倉らしい組織。我々は地域に依って立つ青年会議所として理念を掲げて運動を展開し、存在し続けなければなりません。
【刻を紡ぐまち 〜 心魅かれるまち鎌倉 〜】
私たちのまち鎌倉は豊かな自然環境と歴史的文化に恵まれた、国内でも有数の観光都市であります。また近年は、「武家の古都・鎌倉」として世界遺産登録を目指しています。「世界遺産のあるまち」に存在する青年会議所として鎌倉の魅力を認識し、広く内外に伝える中で多くの人に鎌倉に対する愛着を持っていただく事業を行う必要が有ると考えます。
そして当会議所創立5周年の記念事業として開催された慈善茶会は本年、45周年という節目の年を迎えます。この永きに亘り開催する事が出来ましたのは、ひとえに毎年お献茶式をご奉仕くださいます茶道裏千家千宗室お家元様、私たちにご指導くださる永井宗圭先生をはじめとする茶道関係者の皆様、会場を快くお貸しくださる大仏殿高徳院佐藤孝雄ご住職様、そして当日ご来場いただいているお客様のご理解とご協力の賜物であり関係する全ての方々に対し心より感謝を申し上げます。当会議所を代表する慈善茶会は鎌倉の地域特性を活かしたまちづくり事業として、近年は多くの協働団体の皆様と共に開催をさせて頂いております。本年もご来場頂いた皆様に鎌倉らしさを体感して頂くと共に、その魅力を引き出すべく開催に努めて参ります。
近年、鎌倉青年会議所は市民の政治意識の向上と市民参加型社会の構築を目的とし、まちづくり運動の一環として日本青年会議所の協働運動でありますローカルマニフェスト型公開討論会の開催に取り組んで参りました。鎌倉において首長選挙が行われる本年、地域の将来を自らが主体的に政策で判断し選択するという市民参画意識を向上させる機会を公正中立な立場で作り続けることが必要であり、市民と地方自治をつなぐ一つの社会変革運動として捉え活動してゆきます。
【まちが育むひと 〜 豊かなこころの地産地消 〜】
青年会議所が有する魅力の一つに事業や各種活動において得られる経験や人との出会い、それに基づく資質の向上、自己研鑽の機会が挙げられます。青年会議所を構成するのは20歳から40歳と社会において経験を積むべき世代であり、その後の人生において自身の根幹を成す力を形成する時期であります。この力は仕事における業務能力は元より、家庭や地域生活において発揮するべき人間的魅力、すなわち人間力であると考えます。我々青年会議所の会員一人ひとりがこの人間力を向上させる事により、真に地域から必要とされる組織を目指し活動して参ります。
本年、鎌倉青年会議所は33人でその活動を始めます。青年会議所は定年制であり、時が経てば会員は卒業して会の規模は縮小してしまいます。この33人という人数が当会議所において適正であるのか否か。逆に考えれば、鎌倉青年会議所としての運動展開に何人の会員が必要であるのか。そして会員の拡大にはどの様な行動が必要なのでしょうか。会員拡大は青年会議所最大の継続事業であり、全体事業であると言われます。人間が子を産み育てる事によって種族としての不死性を得、社会を構築してゆくと考えるならば青年会議所においても会員の拡大は運動展開を支える根幹であり、最も重要な課題であります。本年も会一丸となって拡大事業に取り組むべく、委員会という枠を超えた活動を展開致します。
【ひとが創るまち 〜 地域との一体感 〜】
鎌倉に青年会議所が誕生してのち、約半世紀の時を経ました。先輩方が創り活動をし、その運動を広めて来た我々の組織は50周年という節目を超え、どのような道に進むべきなのでしょうか。2011年に策定された中期ビジョン「IZA!鎌倉」は2009年より施行されたまちづくりテーマ「地域力あふれるまち かまくら」が本年をもってその時限を迎える事により統合、引き続き運動展開の機軸に据えて活動を致します。そして本年はこれまでの活動の検証並びに今後の方向性を考える機会を設け、来るべき50周年の足掛かりと致します。
青年会議所が地域に根ざした団体であり続ける為に、組織体制の維持を担う運営的活動は会の中枢を担う重要な役割であります。総会や理事会の設営に代表される総務事業と公益社団法人として必要な財務管理。会の活動並びに方向性を内外へ発信すると共に、地域やOBの諸先輩方をはじめとした我々の活動を支援して下さる方々との連携を深めるべく行う広報並びに交流事業。他の青年会議所や地域の各種団体が開催する事業へ参画・参加する渉外事業。そして青年会議所の特色でもある日本青年会議所や関東地区・神奈川ブロック協議会、また行政や地域の協議会などへの出向は会員の活動範囲を拡げるばかりでなく、より多くの貴重な出会いと資質向上の機会を提供してくれます。本年もこの出向と渉外事業に積極的に取り組むことにより出向者を支援し、地域や他の青年会議所との信頼関係を深めて参ります。
【おわりに】
「目的をはっきりと自覚せよ。それだけで汝の人生は明確に変わる」という言葉があります。過ぎたる向上心は力を求め、その力は人を錯覚させてしまう。反対に協調と安定ばかりを求める者に、得られる物はあるのだろうか。一人の人間がこの地に生まれ成長し、社会を構成する単位としてその存在を確立してゆく。この地に数多ある社会運動団体の中で青年会議所を選んだ事に、誇りは持てるだろうか。今日まで鎌倉青年会議所を創って来た先人の想いを具現化し、地域からの負託と信頼に応える力を我々は持たなければならない。49年という経験を重ねた当会議所が次なる半世紀を生き抜く為に。私に出来るのは、目的と意義を明示し、そこに在り続ける事だけです。鎌倉の輝ける未来を、青年会議所の更なる飛躍に向けた意義ある一年を。そして各人の希望溢れる将来を共に創り上げるべく、活動して参りましょう。一年間、どうぞ宜しくお願い申し上げます。