2019年度 公益社団法人 鎌倉青年会議所 理事長所信
理事長 潮見 雅利
公益社団法人 鎌倉青年会議所 まちづくりビジョン(1991年制定)
「思いやりのある鎌倉 歴史と未来がふれあうまち
人つどうまち 心かようまち」
公益社団法人 鎌倉青年会議所 中期ビジョン(2014年制定)
「IZA!鎌倉」〜刻を紡ぐまち まちが育むひと ひとが創るまち〜
2019年度 テーマ 「覧古考新」
2019年度 スローガン 「過去から学び、自ら考え、新たなまちを描こう」
【はじめに】
鎌倉のまちは、文化や豊かな自然に育まれたまち並みといった、観光文化都市の観点から見た良い面にスポットライトが当たったまちの特徴が、強く市民の間にも印象づけられています。一方で、まちの現状はそうした面ばかりではなく、他のまちからの流入が増えているためまちへの理解を深める機会を得難い市民の増加、そして投票率の低下に見られるまちづくりへの参画意識の低下など、解決しなければならない諸問題も抱えています。しかし、市民にとってのまちは今ある良い面のみが強く印象付けられているため、これらの問題があまり注目されず、本来まちに住み暮らす人の手によって乗り越えるべき問題の解決を妨げてしまう要因のひとつになっていると考えます。
こうした問題を解決するためには、まちへの理解をより深め問題を認識するための、先人たちのまちづくりから考える材料を提示し意見を発信する場を創り出すべきだと考えます。その結果、その場に関わった市民の皆様が現状を知り自らの考えと比較すると共に、一人ひとりがまちの問題に関心を持ち、主体的に解決に向けて考えることができるようになると考えます。
本年の鎌倉青年会議所は、市民の皆様がまちを理解するために必要なまちの全体像を広く発信する場を創り出します。その結果、一人でも多くの人と共にまちのことを考え問題を解決していこうとする共感の輪を広げ、愛着を持って未来を創っていけるまちの実現に向けて邁進して参ります。
【まちを良く理解し未来を創っていくためのきっかけの創出】
私達が暮らす鎌倉のまちの姿は、最初からそこにあったのではなく多くの先人たちが住み暮らした時代に発生した様々な問題を自らの手で乗り越えた先に成り立っています。そのため、まちの良い面ばかりではなくその成り立ちや全体像に広く関心を持ち理解せずして新たなまちの未来を積み重ねていくことはできません。そこで、当会議所は市民に対してまちのあゆみを踏まえた上で現在のまちの姿を理解できる場を創出することで、市民一人ひとりが現状を把握してまちのより良い未来を主体的に考えていこうとする意識を醸成していきます。
そして、当会議所のまちづくりの中心的な事業である慈善茶会は、昨年無事に50回目の節目を迎えられ、本年は新たに51回目を開催致します。この永きに亘り慈善茶会が開催できますのは、茶道裏千家千宗室御家元をはじめとする御宗家の皆様、毎年素晴らしい会場をお貸しいただくと共に多大なるご協力を頂いております大仏殿高徳院佐藤孝雄御住職、協働団体の皆様、そして何より会場にお越し下さいますお客様のお陰であり、ここに深く御礼を申し上げます。本年は、茶道の精神にもある相手のことを敬い相手の立場に立ったおもてなしの心をもって、まちづくり事業として広く市民がまちづくりのあゆみを知ることのできる場を創り出していきます。
また、本年は統一地方選挙が行われる予定です。これまでも当会議所では公開討論会を開催し、広く市民に立候補予定者の声を届けてきました。地域を代表しようとする立候補予定者の人柄を直接知ることのできる機会を提供することは、市民が主体的にまちの未来を考える意識を持つための判断材料として非常に有益なことであると考え、本年も公開討論会を開催いたします。
【運動を発信する原動力となる、会員拡大と会員の資質向上】
当会議所には、永きに亘ってまちのために尽力されてきた諸先輩方の想いがあります。私達はそれを受け継ぎ日々研鑽を積んでいます。その想いを受け継いだ人を一人でも増やすと同時に資質向上を図ることで会員が市民の皆様から信頼される存在となり、当会議所の運動に対する共感を得ることができると考えます。そのためには、会員が力を結集して組織一丸となって会員拡大を推し進めて行かなければなりません。本年は、当会議所にとって会員拡大のためには何が必要であるかを、これまでの当会議所の手法を踏まえながら改めて精査していきます。
そして、現状、入会3年未満の会員が半数以上を占める中で、新入会員が早期に当会議所を支える会員として活躍していくために、当会議所の活動の根幹をなす事業構築を実際に行うことのできる研修を行います。
また、隣接する地域の仲間と共に活動することは自らを高めるために重要なことです。地域の仲間が推し進めようとしていることと当会議所が推し進めようとすることを比較することで、まちの現状をより正確に市民に発信するためには何が必要かを改めて認識する機会を創ります。また、鎌倉のまちとは置かれた状況や考えの異なる仲間たちと意見を交換しながら、自らの意見を周囲に正しく伝え共感されるために必要なことを得る機会とします。
【これまでのまちづくり運動を知り、感謝し、共感の輪を広げて未来へとつなぐ】
当会議所は1965年に情熱ある青年達の手によって誕生し、その時代に合ったまちづくり運動によって地域社会の発展に貢献し、本年は55周年という節目の年を迎えます。これまでの永きに亘り当会議所に対して多大なるご理解とご協力を賜りました全ての皆様、そして当会議所がここまで継続発展してきたことの原動力となった諸先輩方に御礼を申し上げます。
当会議所はまちのためにより一層進化した活動を行うために、これまでの活動内容および事業の成果を知る必要があります。本年はこれまでの運動及び事業の成果を伝える機会を提供すると共に諸先輩方に敬意を表すことで、当会議所が未来に向けて新たな一歩を踏み出すことを表明するための機会を創ります。
同時に、当会議所がこれからも持続的かつ主体的にまちの発展に寄与していく団体として市民の皆様からの信頼を得ることも必要不可欠です。55年の永きに亘って地域社会の発展に関わってきた当会議所の運動や事業の成果を広く伝えられるような事業を行い、市民の皆様に知っていただくことで理解を深めるための一助とします。
【全ての運動の基盤となる組織】
会員には青年会議所以外にも自らの所属する組織があり、皆がそれぞれの組織のルールに則って仕事をしています。このように、仕事の進め方やコミュニケーションの取り方が異なる個の集団からなる当会議所を、皆が歩を合わせて同じ方向に向かっていける更に強い組織にするためには、全ての会員がルールを遵守した組織運営が必要です。当会議所が組織として成り立っているのは、公益法人会計の基準に則った財務運営手法に留まらず、総会や理事会などの会議運営手法といった、組織運営において当たり前のことがしっかりと守られているからです。当会議所の運動がこれからもずっと信頼され続けるために、ここまで諸先輩方が築き上げてきた組織運営手法について変えてはならない部分と時代の流れに合わせて変えるべき部分を良く精査すべきです。
そのことを踏まえた上で、特に会の運営に必要なコミュニケーションや書類管理の部分については、近年の情報化社会に即した適切な運営手法を取り入れていくことにより効率化を図り、組織運営や運動の発信により一層注力できるようにしていきます。また、市民の皆様が当会議所の運動を認知し親しみを持っていただく接点を創るために、更に当会議所に関する様々な情報を様々な手段で発信していきます。そして、日本青年会議所本会、関東地区協議会、神奈川ブロック協議会という広がりがある青年会議所において、貴重な出会いと自己研鑽の場を与えてくれる機会を活用し、出向者への支援を行っていきます。
【おわりに】
当会議所は、同じ時代に生まれ鎌倉のまちを良くしたいと考える同じ志を持った仲間が集い、「明るい豊かな社会の実現」のために運動を展開しています。先人たちが古くより築き上げてきたまちづくりの意義をしっかりと覧た上で、私達だからこそできる新しい未来のまちを考えていこうという強い意志を持って運動を展開して参ります。そして、その過程において修練を通じて会員自身が自己成長を実現し、市民の皆様に当会議所の運動に対する共感の輪を広げることで、鎌倉のまちにさらに愛着を持ち、より住み良いまちに発展を遂げることができると確信します。
諸先輩方が築き上げられてきた当会議所の歴史と伝統を未来に繋いでいくために、私は公益社団法人鎌倉青年会議所第55代理事長の職をお預かりし、全力で活動して参ります。一年間、どうぞよろしくお願い申し上げます。