理事長所信

第56代理事長
牧田 芳明

2020年度 公益社団法人 鎌倉青年会議所 理事長所信

理事長 牧田 芳明



公益社団法人 鎌倉青年会議所 まちづくりビジョン(1991年制定)
「思いやりのある鎌倉 歴史と未来がふれあうまち
      人つどうまち 心かようまち」

公益社団法人 鎌倉青年会議所 中期ビジョン(2014年改定)
「IZA!鎌倉」〜刻を紡ぐまち まちが育むひと ひとが創るまち〜


2020年度 テーマ 「未来思考」
2020年度 スローガン 「未来の為に、今、出来ることを」

【はじめに】
 鎌倉時代という時代区分でもわかるように、日本初の武家による都として発展してきた鎌倉は、その後1889年に横須賀線、鎌倉駅の開業をきっかけに再び注目を集めることになります。大正時代になると東京、鎌倉間が横須賀線で直接結ばれたこともあり、鎌倉は、豊かな環境に惹かれた多くの著名人が避寒地として使う別荘地となりました。その流れによる観光客の増加は、昭和、平成を経て、令和の時代においても衰えることなく、現在は年間約2000万人が訪れる日本有数の観光地として知られています。しかしながら、そんな華やかな側面を持つ鎌倉のまちにおいても、少子高齢化の影響は確実にやってきています。首都圏のベッドタウンとしての側面も併せ持つため、流入人口自体は増加をしていますが、それでも20代から30代にかけての青年世代と言われる世代は直近5年だけをみても、減少を続けており、その世代と連動するように、今後の鎌倉の未来を担う10歳未満の子どもの人口も同じく減少しております。その為、今までまちづくりを担ってきた団体、人々の高齢化による、まちづくり活動に携わる人材の減少や活動自体の停止が一つの問題となっており、それに連動するように市民のまちづくり活動への参加率並びにその成果に対する満足度も減少の傾向にあると言われています。新たに活動を始める団体もありますが、継続的にまちづくり活動を展開できるかは未知数の部分も多くあると考えられています。まちづくり活動は明るい豊かな社会の実現に向けて、まちへ前向きな変化をもたらす為の手段であると考えます。鎌倉青年会議所は本年まで55年もの間、鎌倉に住み暮らし、鎌倉のまちづくりについて考えてきた団体として、他団体と連携しながら、市民の皆様一人ひとりが鎌倉の未来を思い描けるように、活動していかなければならないのではないでしょうか。市民の皆様一人ひとりが自らの思い描く鎌倉の未来を持つことが出来れば、それに向かい行動する事が出来、それが新たなまちづくりの原動力になり、鎌倉はこれからも活性化を続けていくと考えられます。その為にも、我々はまちづくりに携わる青年世代として、その先頭を切って鎌倉の内外から広く学び、つながりをつくり、そして何より、鎌倉の未来について考えていかなければなりません。

【広く学び、まちとつながり、未来をつくるまちづくり事業】
 市民の皆様にまちの未来を思い描いてもらう為にも、我々自身がしっかりとまちに対する理解を深めなければなりません。鎌倉の未来の道標の1つにSDGsがあります。SDGsは持続可能な開発目標といわれ、鎌倉の未来を考えるうえで非常に重要なものであります。鎌倉はSDGs未来都市に選定されている地域でもあり、SDGsに関する理解を深める事は、鎌倉の未来に対して理解を深めることにも繋がると考えます。その為に、SDGsについての学びをより深いものにして、鎌倉の未来について改めて考える機会を作ります。次に、その学びをSDGsと共に市民の皆様に広く伝播することで、市民の皆様一人ひとりが鎌倉の未来を思い描くための一助に致します。
 そして、当会議所設立5周年の記念事業として開催された慈善茶会は昨年、51回目を無事に開催する事が出来ました。これまでの長きにわたり開催できるのも、ひとえに毎年御献茶式を行って下さいます茶道裏千家千宗室御家元をはじめとする御宗家の皆様、快く会場をお貸しくださる大仏殿高徳院佐藤孝雄御住職、本事業を開催するに当たりご協力を頂いております茶道関係者の皆様、そして当日ご来場を頂いている皆様の御理解と御協力の賜物であり、関係する全ての方々に対して心より感謝を申し上げます。茶道にはまちづくりに携わるうえで学ぶべき多くのものが内包されていると考えております。その中でも相手を敬い、相手の事を考えて、その想いを形にするおもてなしの精神は、お越し頂く御客様と会員をつなぐ架け橋になります。本年も開催させていただきます第52回慈善茶会では、おもてなしを通じてお客様と会員とのつながりをしっかりと構築していくのと同時に、鎌倉の未来を感じていただける設えを取り入れる事で、御客様や関係諸団体の皆様に鎌倉の未来について考えるきっかけにしたいと考えています。最後に、本年度の慈善茶会にご協力いただきました多くの関係諸団体の皆様と交流する機会を作らせていただくことで、さらなるつながりと学びを頂く機会と致します。

【広く内外からの学びつながりを作る渉外交流事業】
 青年会議所は鎌倉にのみ存在する組織ではなく、日本各地に会員会議所は存在しています。青年会議所活動の中には、この全国の青年会議所に在籍する数多の会員と交流し、学びあう機会として出向があります。出向することで、様々な意見や考え方を持つ会員と自己研鑽の機会を持つことが出来、それは当会議所の中だけでは学べない貴重な機会となるため、本年度も出向者を全力で支援をしてまいります。そこで培った経験や知識を鎌倉のまちへと還元することのできる人材に成長することは、狭くなりやすい我々の視野を広くする機会となり、鎌倉の未来を見据えるうえで大きな一助となります。そして本年度は、神奈川県内で様々な大会が開催される予定となっております。我々の所属する神奈川ブロック協議会が例年以上に注目される一年であり、同時に多くの学びを得る機会だと考えます。当会議所としても同じ神奈川の同志である仲間が主管する各大会を全力で支援すると共に、世界や全国の仲間と交流できるまたとない機会を活かし学びの機会と致します。そして地域としてのつながりを強くするために、近隣LOMとの交流の機会を活用して地域間での連携や学習の一助に致します。また、人と交流して学びを持つ機会は鎌倉の中にもあります。これまで当会議所の運動を支えてこられた先輩諸氏に敬意を表し当会議所の歴史を振り返り、学ぶことは、改めて当会議所の事を見つめなおす機会となり、鎌倉に住み暮らす様々な世代の方々との交流の機会は鎌倉の中で新たなつながりを創出するまたとないチャンスとなります。交流の機会を通して、学びとつながりを作る事は、会員が鎌倉の未来を思い描く人材へと成長する為の重要な機会であると考えます。

【会員拡大と人材を育成する拡大アカデミー事業】
 全国的に青年会議所の会員減少が叫ばれる中、当会議所もその例から外れておりません。定年制がある青年会議所では、何もせずに時が経てばおのずと会員は減少します。個人という存在が特に重視されているこの時代に、利他の精神を前面にまちづくり活動を展開することを大きな目標の一つとしている青年会議所活動をする事は、難しくなっているのかもしれません。しかし逆に言えば今こそ我々の運動が地域に必要であり、その運動の推進力を高める為にも会員拡大が必要不可欠であるという事を、会全体で改めて認識した上で拡大活動を行っていく必要性があります。その為には、入会資格者へ青年会議所運動の必要性を伝えて、まちをよくしたいという想いを共有する仲間を積極的に作っていくことが重要になってくると考えます。また拡大の必要性と同様に、在籍年数の低下に伴う経験不足も大きな問題となっております。青年会議所の在籍年数は平均で4年半程度と言われており、入会間もない環境で、当会の要職に就く権利を持った会員が、青年会議所の運動を理解し、前向きに活動していけるように早期に成長を促すことは、拡大活動を行う事と同様に重要な事業だと考えています。この拡大とアカデミーの両輪を連動させることで、鎌倉の未来に向けて進む青年会議所運動をより強いものとしていきます。

【学びの場を提供し発信する組織運営】
 青年会議所は様々な考えを持った会員が集まり構成されている組織であります。会員同士が色々な観点から議論を重ねて互いに多くの気づきと学びを受け取りながら同じ方向性へと向かっていくための場が理事会であり、そのための会議法や組織運営は、当会議所の土台を支える骨組みともいえるものです。また、総会をはじめとする当会議所の意思決定機関の厳正な運営と、公益社団法人としての適切な財務管理を行うことで、組織を円滑に運営していくことは、当会議所が信頼ある組織として鎌倉で活動し続ける為に必要不可欠であります。また、どれほど素晴らしい事業をおこなおうと、その事前情報や成果がしっかり市民の皆様へと伝わらなければ、市民の皆様一人ひとりに鎌倉の未来を考えてもらうきっかけにはなりません。その為、我々の事業を広く発信していくことは、当会議所の運動をまちへと広く浸透させることになり青年会議所活動にとって非常に重要な役割だと言えます。SNSやホームページもただ情報を載せるだけでなく、届けたい情報を具体的に、迅速にそして媒体ごとの利用者を意識した情報発信が必要になってくると考えます。最後に、当会議所の活動の一番の理解者であり協力者でもある、先輩諸氏や関係諸団体の方々と交流を通して、更なるつながりを作り上げることは、青年会議所活動をより円滑に進める為の一助になります。

【おわりに】
 私はこの鎌倉のまちに生まれ育ち、この鎌倉というまちが大好きです。今もその想いは変わってはいませんが、鎌倉青年会議所に入り、この感情の意味合いが少し変化したように感じています。それは鎌倉のまちが、素晴らしいと思えるまちであり続ける為に、多くの人々が人知れず努力をして、支えているという事を知り、その方たちへの敬意の意味あいが付け足されたことです。そしてそれは同時に、私自身も鎌倉のまちを大好きであり続ける為には、その一員となって鎌倉に明るい未来を描いていくことの出来る人材にならなければいけないのだという決意に変わりました。また青年会議所活動を通じて日本全国で、同じ想いを胸に活動する同志たちがいるという事実も知る事にもなり、そんな同志たちとの交流から多くの学びを頂きました。青年会議所はどんなに望んでも40歳までしか活動が出来ません。ならば、この1年を大事に、全力で広く多くの事を学び、つながりをつくり、鎌倉の明るい未来を描き出せる人材となることが重要であります。そしてそんな人材となった会員が積極的に活動することで、鎌倉に明るい豊かな未来を創りだす為の一助になると信じています。当会議所に入り、多くの気づきと、学びを、鎌倉のまちから、仲間から、そして全国の同志の皆様から頂きました。先輩諸氏が築いてこられた鎌倉青年会議所を、全身全霊をもって牽引し、次代へと引き継がせていただきたいと考えております。
一年間、どうぞよろしくお願い致します。