2015年度 公益社団法人 鎌倉青年会議所 理事長所信
理事長 川島 吉弘
公益社団法人 鎌倉青年会議所 まちづくりビジョン(1991年制定)
「思いやりのある鎌倉 歴史と未来がふれあうまち
人つどうまち 心かようまち」
公益社団法人 鎌倉青年会議所 中期ビジョン(2011年制定)
「IZA 鎌倉」〜刻を紡ぐまち まちが育むひと ひとが創るまち〜
2015年度 テーマ 「百花斉放」
2015年度 スローガン
「新たなスタートを 主体性を持って次世代につなげよう」
【はじめに】
日本における青年会議所運動は1949年に「新日本の再建は我々青年の仕事である」という使命のもと始まりました。明るい豊かな社会の実現を理想とし、その運動はやがて私たちのまち、鎌倉にも青年会議所設立の機運が高まり1965年設立総会が開催され産声を上げました。設立以来、黄色いランドセルカバーや史跡パトロール隊をはじめ地域に根差した様々な事業を展開してまいりました。昨年50周年を迎えられましたこと、これまでご指導、ご協力を賜りました市民の皆様、関係諸団体の皆様、いつも温かく見守ってくださる先輩方に対しましてここに改めて御礼を申し上げます。
本年は戦後70年を迎えます。先人たちにより復興を成し遂げ、高度経済成長期を経験し豊かな国に発展してまいりました。そして私たちはその恩恵を受け、なに不自由なく生活を過ごしてきました。
一方で私たちの取り巻く環境はいつの時代も必ずしも良いものばかりではありません。なかでも、2011年3月11日に発生した東日本大震災により多数の死傷者を出し、さらには福島第一原子力発電所の事故もあり、発生から4年を迎えるにも関わらず未だに多くの方々が避難生活を強いられています。遠く離れたこの地域に生きる私自身もこの現状を憂うと同時に、様々な価値観を見直すきっかけとなりました。時代の背景は異なりますが、国難と言えるこの時代に若者世代が声を上げ、体を張って向き合わなければなりません。私たちには青年会議所という素晴らしい組織のバッジを胸に付け活動できるのですから。
【地域を語れる人財の育成と情報の発信】
青年会議所の特色を語る上で最も特徴的なのが、年齢制限があることです。どんなに青年会議所活動をしたくても、40歳になれば卒業をしなければなりません。近年、会員の減少は大きな問題になっており、鎌倉青年会議所も例外ではありません。青年会議所運動を推し進める上で、会員が一丸となって会員の減少に歯止めをかけ、魅力ある組織にしていかなければなりません。
本年、鎌倉青年会議所は36名でスタートをすることになりました。青年会議所活動を展開していく上でこの人数が適正かと考えたときに、私は明らかに少ないと考えます。1人よりも2人、2人よりも5人、5人よりも10人と共に活動する仲間が多ければ多いほど、その原動力は計り知れないものであり、やがてその原動力はこの地域の市民へ広く伝わると考えます。明るい豊かな社会の実現を成し遂げるには何よりも会員の拡大こそが重要です。この地域にはまだまだ潜在的な若い人財が沢山いると確信しております。鎌倉青年会議所組織そのものの灯を消すだけではなく、この地域には青年会議所が必要なんだ、この地域を良くするには我々の力が必要なんだ、という強い気概を全会員が持って拡大活動に臨まなければなりません。
また、青年会議所の魅力として挙げられるのが私たち自身のスキルアップです。新入会員はもちろんのこと、この地域に対してまちづくりのできる人財を育成してまいります。
そして、私たちの活動と運動を広める為には広報、すなわち情報発信する事が重要であると考えます。現代社会における広報のツールはSNSをはじめ便利なものとなりました。私は拡大活動と情報発信は切っても切れないものであり、いわば車の両輪であると考えます。私たちの活動と運動を正しく、そしてスピーディに多くの市民に広げること、それが結果として会員の拡大に繋がるのです。
【青年会議所によるより良い地域の創造】
青年会議所が地域で活動する上で、この地域をどうしたいのか、どのようにしていきたいのか、その熱意を持ち続け実行してゆくことが最も大切です。
鎌倉青年会議所の5周年記念事業として開催しました慈善茶会は、昨年46回目を終えることができました。この永きに亘り開催できますのは、茶道裏千家千宗室御家元様をはじめ御宗家の皆様、ご指導をくださいます永井宗圭先生をはじめ関係者の皆様、素晴らしい会場をお貸しくださいます大仏殿高徳院佐藤孝雄御住職をはじめ関係者の皆様、協働団体の皆様、そして会場にお越しくださいますお客様のご理解とご支援に対して深く御礼を申し上げます。この慈善茶会は長い年月を経て、まちづくり事業として発展させてまいりました。日本が誇る茶道の文化とまちづくりを一体化させ、慈善の意味を今一度かみ締め事業を構築しなければなりません。そして、この事業を通じて私たちの考える地域像を発信し、市民に広く伝えていかなくてはなりません。
そして、前述のように東日本大震災は私たちの取り巻く環境を大きく変えました。直接的な影響が少なかったこの鎌倉でも、市民の意識に変化をもたらした事柄は多いはずです。それまでは物があふれ、いつでも欲しい物が手に入ること。それは私たちに満足感を得られる結果ではありましたが、これから未来に託す責任ある世代としては本当にそれで良いのでしょうか。今、私たちが考えなければならないことはこの地域の未来を本気で考え、実行することなのです。
本年は統一地方選挙が行われる予定です。過去、鎌倉青年会議所においても公開討論会を開催し、「e‐みらせん」を活用し広く市民に立候補予定者の声を届けてまいりました。政策の違いだけではなく、立候補予定者の人柄も含め市民に届けることは非常に有益なものと考え、最大限にこれらを活用し公開討論会を開催いたします。
【強い組織基盤の確立】
組織を運営、維持する上で最も大切なことは、当たり前のことを当たり前に実行することだと考えます。すなわちそれはこの地域で、市民や関係団体の皆様から信頼を得る団体であることであり、それを委員会のメンバーのみならず、常に会員ひとりひとりが持ち続けなければなりません。総会や理事会の運営はもちろんのこと、ロバート議事法による会議の運営、公益法人会計の基準に則った財務運営などは、青年会議所の運営だけではなく、あらゆる組織の運営で役立つものばかりです。これらを学ぶことも会員にとって個人の能力として備わってゆくのです。それは青年会議所のメンバーだからということではなく、この地域に生きる社会人として必要なことなのです。
【関係団体との関わり】
本年は鎌倉青年会議所より公益社団法人日本青年会議所関東地区神奈川ブロック協議会会長を出向させていただく大変名誉のある機会をいただきました。このことはすなわち、神奈川ブロック協議会を一番近い位置で支えるLOMになるということです。これに伴い本年も出向者を多く輩出することになります。私は出向も、ブロック会長輩出という機会も鎌倉青年会議所にとってはこれを大きなチャンスと捉えます。私も幾度と無く出向の経験をした会員のひとりではありますが、その度に新たな学びや気づき、そして多くのメンバーと出会い切磋琢磨する中で、鎌倉青年会議所の魅力を再認識すると共に、まだまだ他のLOMに学ぶべきものが沢山ありました。本年はこれらの経験を例年以上にフィードバックできる重要な1年になるのです。これは鎌倉青年会議所の未来にとっても大きな意味を持つことだと確信しております。
そして、出向のみならずブロック協議会の事業はもとより、関東地区協議会、日本青年会議所、国際青年会議所の行う事業にしっかりと参加をすることで、青年会議所の行う事業の大きさを学び、さらにはそれをしっかりとLOMにフィードバックする機会を作ります。同時に地域の関係諸団体が行う事業にも、地域を担う世代として責任感を持って、積極的に参加する機会を作ってまいります。
【おわりに】
私は2005年11月に縁あってこの鎌倉青年会議所に入会させていただく機会を得ました。以来、多くの仲間や先輩に助けられ今日まで活動することが出来ました。ふと入会してからの年月を顧みたとき、「もし青年会議所に入会していなければ今の自分はどうなっていただろうか」と考えることがあります。私ははっきりと断言できます。この地域に対しても興味を持たず、考えも持たない社会人になっていただろうと。そう思えるのは、青年会議所が持つ力であり、ネットワークの広さであり、人と人との繋がりが自分を育ててくれたのだと思うのです。
アメリカ合衆国元大統領ジョン・F・ケネディは就任の演説で国民にこう呼びかけました。「米国があなたのために何をするかを問うのではなく、われわれが人類の自由のために、一緒に何ができるかを問うてほしい」と。これを青年会議所の組織に置き換えても同じことが言えると思います。青年会議所の組織そのものは私たち会員に対しては何もしてくれません。自らの意思で入会し、自ら積極的に参加しその中で個人の能力を高めていかなければならない場所なのです。あなたが臨めば臨むほどその能力が向上し、この地域に対して考えることを、そして行動することを決して忘れないでほしいと思うのです。主体性を持ってこの地域を共に良くしていきましょう。
1年間宜しくお願い致します。