公益社団法人鎌倉青年会議所 まちづくりビジョン
(1991年制定)
公益社団法人鎌倉青年会議所 中期ビジョン
(2014年改訂)
2022年度テーマ
「包容」2022年度 スローガン
「相互理解の先にある未来へ」
わがまち鎌倉、そしてわが国日本だけでなく、世界中を翻弄し続けている未曾有のコロナ禍の中、多くの社会課題が顕在化したと言われています。その中の一つに異なる意見や多様性を認めない不寛容さが加速したことが挙げられています。まちづくりには市民の数だけ正解があります。しかし、相互理解が進まず、それぞれをカテゴライズしたり、一部の強い意見だけがクロースアップされ、周囲が萎縮して意見を表明しづらくなるなど、多様な意見が出なくなることは、結果的にまちの硬直化を招くことになり、誰も幸せにしない結果を生み出すことになると考えます。
こうした社会情勢の中、鎌倉市においては共生社会の実現を目指す条例を制定するなど共生社会の実現に向けて取り組みが進められています。これは社会の不寛容さが訴えられる今こそ取り組むべきテーマであると言えるのではないでしょうか。
共生社会の実現には互いの違いを認め合う、多様性を活かしたまちづくりが必要です。多様性を認めない不寛容さから生まれる対立、分断は互いを理解できない、しようとしない、未知なるものへの畏怖から生まれるものだと考えます。未知なるものに触れることに対する畏怖を愉しむことができる社会へと変えていくのは未来を担う私たち青年の役割であると考えます。
多様性の確保は、まちに持続的な価値の創造を気づかせ、まちが発展し続ける土台になると考えています。私たちは、違いを乗り越え、様々なバックグラウンドを持った仲間たちが集まり、多くの人々と交流し、運動を展開することで、多彩な個性が輝き、畏怖を愉しむことができる社会の先にある、誰もが自分らしく生きることのできる多様性あふれる社会の実現を本年度、鎌倉青年会議所は目指します。
長らくベッドタウン的要素の強かった鎌倉にはリモートワークなど多様な働き方が可能になったことも後押しをして近年、転入者や起業する若い経営者も多くなっています。昔から鎌倉に住まわれている市民、鎌倉に魅力を感じて転入した市民、若い起業家の皆様、そこには多様な価値観が存在しています。持続可能なまちづくりには考えを硬直化させないための多様な価値観が必要であり、今、鎌倉はチャンスの時を迎えていると言えます。しかし、私たち市民の間で多様な価値観のあふれるまちづくりのイメージを明確に共有することができているとは言えません。そこで、まず、多様な価値観のあふれるまちづくりについての理解を深める事業を行います。
次に、当会議所の創立5周年事業として開催され、永きに亘り、当会議所の中心的なまちづくり事業として開催させていただいている慈善茶会を本年も開催させていただきます。この永きに亘り開催できますのは、茶道裏千家千宗室御家元様をはじめとするご宗家の皆様、毎年快く会場をお貸しいただいております大仏殿高徳院佐藤孝雄ご住職様、淡交会の皆様、地域の協働団体、学生の皆様、そして会場にお越し下さいます皆様のお陰様であり、ここに深く御礼を申し上る次第です。茶の心は「和敬清寂」であると心得ております。様々な文化的背景の中で活動をされている皆様と開催する慈善茶会を体感いただくことで多様な価値観を愉しむ機運を醸成することを目指して、互いの心を和らげ謹み敬う茶の心を通じ、相互理解を考えるきっかけになる事業といたします。そして、慈善茶会でご協力頂きました皆様へ感謝の思いを伝え、互いをより理解する機会を設けます。
最後に、多様な価値観を理解するためには、人と触れ合うことが最も重要であると考え、多くの市民と互いを知り、互いの違いを理解し、全ての人がまちづくりのパートナーである事に気づくきっかけを作る事業を行います。
少子高齢化が進む一方で、青年世代の活動団体が増えている中、当会議所が常に選ばれ続ける組織で在ることは困難な時を迎えています。しかし、私たちは自らの意識改革を促し能動的な機会を提供し、ポジティブチェンジをし続け、まちに役立つ人材への成長を促す青年団体であります。個人の変革無くしてまちの変革はありません。それ故に、更なるポジティブチェンジができる人づくり、そしてその推進力を高めるための仲間づくりは組織としての大きな使命の一つであると言えます。
まず、まちの縮図、とも言える異なる職業やバックグラウンドを持った仲間が集まった組織である当会議所の運動を理解し、自ら違いを認め合うことができなければ、多様性あふれるまちづくりを目指すことはできません。私たちの成長はまちの成長の一助になると考え、そのために違いを愉しむことができる人材を育成するための事業を行います。
次に、会員拡大は当会議所運動の原点であり、唯一の継続事業であると言えますが、これまで有効だった手法が今年度は有効ではないかもしれません。委員会が先頭に立ち、常に新しい拡大手法を模索し、その上で、新たな視点に立った発想が生まれやすい組織を目指すために、多様性を意識した運動を通して拡大活動を展開し、私たちの運動に共感いただける仲間づくりを促す事業を行います。
最後に、会員のさらなる成長を促すため、神奈川ブロック協議会が開催するブロック大会に参加をします。他の青年会議所の会員と繋がり、多様な考えに触れる機会を活かして当会議所の会員が自らの会議所活動を省みて、強み弱みを理解し、成長することは、今後の当会議所の青年会議所運動と拡大活動に大いに生かすことができると考えます。
私たちは青年世代で構成される団体です。しかしながら、まちは様々な世代で成り立っています。横の相互理解と同様に、縦の相互理解無くして、誰もが自分らしく生きる事のできるまちづくりはできないと考えます。
鎌倉青年会議所は1964年の創立以来58年の歴史を紡いできました。58年間、その時代のまちの課題と向き合い、その解決に向けて全身全霊をかけて運動されてきた多くの先輩諸氏は、多様な価値観と向き合うヒントを持たれている、まさに生きる宝庫です。世代を超え先輩諸氏と当会議所の創立記念日を祝い、世代を超えたまちづくりの課題について語り合う機会は私たちの今後の運動において大きなヒントとなると考えます。
組織の成長や活性化は、外部からの多様な価値観に触れ、新たな気付きを得ること、そしてそれらを通じて組織の考えや状態を客観的に振り返ることで促進されると考えます。これまでも私たちは様々な団体と協働してまちづくりを行ってきました。そして、これまで以上に互いの立場や特性を理解し、尊重し合い、取り組む課題の目的やプロセスを共有し、活動することで新たな価値観を見出すことができると考えます。そこで今年度は、性別・職業等、異なる立場を持つ皆様と多く関わるため、これまでも協働してきた行政や教育機関、企業、活動団体等との連携をこれまで以上に図り、意識の垣根、立場の垣根を超えて共に活動する機会と、交流の機会を創出してまいります。
公益社団法人として理事会運営を始めとする適切な組織運営を支え、青年会議所の最高意志決定機関である総会を円滑に開催する役割を担うことは非常に重要であり、組織の屋台骨であると言えます。コンプライアンスを遵守した組織運営をする、という役割がゆえに、財務、総務運営には恒久的な在り方が求められます。コンプライアンスの遵守無くして私たちの運動がまちの信頼を勝ち取ることはできません。しかしながら組織の多様化を目指す中で、変えることを目的としない本質的な進化が求められます。屋台骨の変化なくして組織の進化はないという意識を持ち、時代を読み、時には変化を恐れずに進化し続けるしなやかな組織運営を目指します。
また、年当初には当会議所の2022年度の方向性を発信し、まちの皆様からの理解を深めていただくこと、そして、会員にとっての節目を互いに祝い、都度、方向性を内外へ発信することは会員同士の繋がりを強固にします。更に、今だけではないその先の組織運営への意識を情勢する機会を通じ、持続可能な強い組織を築いていきます。
広報の大きな役割の一つに組織の透明性を保つことがあると考えます。広報を通じて、多様性あふれる組織の運動やまちへのインパクトを発信し透明性を確保することは、まちからの信頼を得る上で最適な手段です。情報環境の変化に伴い、広報に求められるものも変化しています。情報の消費期限はさらに短くなり、ただ運動を発信するのではなく、出すべきタイミング、その情報も既存の話題ばかりではなく、組織内の新たな価値を創造し発信するなど、より斬新な取り組みが必要です。組織の透明性を保ち、信頼を得続けるために、時代に求められる広報に特に力を入れてまいります。
鎌倉は、源頼朝が日本で初めての武家政権を誕生させた、新たなる価値を生み出した地であります。それは当時、世の中の価値観を180度変えた、とても今の私たちには想像できない変化であったと思いますが、その変化を私たちのまち、鎌倉は確かに受け入れてきました。私たちはその土の上で生きています。そんな鎌倉の土に育まれている私たちはあらゆる立場の対立を超えて、互いの違いを愉しみ、変化を愉しみ、多様な価値観の中で今までにない価値を見出すことが必ずや出来ると確信しています。
鎌倉青年会議所自らが市民とまちとの関わり方、あらゆる立場を理解する、未知なるものを愉しむ事で、互いを理解する機運を高めていきます。畏怖を乗り越え、未知を愉しんだ先には、多様な個性を理解し思いやる、誰一人を取り残すことのない可能性に満ちた社会の実現が待っていると信じて、今年一年間、先輩諸氏が築かれてきた伝統ある鎌倉青年会議所の理事長職をお預かりし、その名誉に恥じないよう全力で会を牽引してまいります。
一年間、どうぞ宜しくお願い申し上げます!