理事長所信

2025年度
公益社団法人 鎌倉青年会議所
理事長所信

第61代理事長 長野 トーマスマコト

2025年度テーマ

「繋がり」

2025年度 スローガン

「人と人、地域と子どもたち、We Are One!」

はじめに

自分が住み暮らすまちについて愛着を持っている人はどれだけいるのでしょうか。そういう私も愛着を持てませんでしたが今は胸を張ってこの鎌倉のまちが大好きだと言えます。私は日本とアメリカのハーフとして生まれ、勉学もずっと英語で学びました。学校は地元ではなく小学生の頃から1時間以上離れたインターナショナルスクールに通学していたため、地元には友達もおらず、学校を卒業してからは唯一いた友人たちは世界に散り散りになり、仕事を始めてからも東京に通い、生まれ育ったまちはただ単に生まれ育った場所でしかありませんでした。日本人に比べれば日本語は下手、アメリカ人に比べれば英語は下手。日本にいると外国人に見られ、アメリカにいるとアジア人だと思われ、自分の確たる居場所というものがありませんでした。そんな私にも転機が訪れました。このまちで仕事をはじめ、鎌倉青年会議所に入会し、活動していく中で信頼できる仲間ができ、単なる生まれ育った場所だった鎌倉が、心休まる場所、守るべき地元に変わりました。私の事をアメリカ人やハーフではなく、1人の長野トーマスマコトとして受け入れてくれる仲間。色眼鏡なく同じ鎌倉で暮らす仲間として迎えていただき、共に活動していくことを通して、私が幼少期に感じる事ができなかった人と人、まちとそこに住み暮らす方々の繋がりの強さ、そして重要さを実感してきました。その繋がりこそがまちを発展させたい、豊かなまちにしたいという、私を熱く動かす原動力だと思います。
近年では、少子化や核家族化が進行し、就労、結婚、出産、子育てについての価値観も多様化するなかで、出産年齢の上昇や共働き家庭の増加、地域におけるコミュニティの希薄化など、子どもと家庭を取り巻く環境は大きく変化しています。一人親の子や貧困の子、障害を持っていたり、コミュニケーションをとるのが苦手だったり、私と境遇の異なる子どもでも、まちとの繋がりを感じられない子どもがいます。私は鎌倉青年会議所の会員である前に2児の父でもあり、その二人にはしっかりと孤独を感じず頼れる人がいる、帰る場所があると感じてもらいたいですし、このまちの全ての子どもたちがそうあって欲しいと願います。その中で鎌倉青年会議所として子どもたちが今よりも過ごしやすいまちで自分らしくのびのびと成長でき、地域との繋がりの温かさを感じられる居場所を創ることを、当会議所が先導となってチャレンジをしていくべきだと考えます。
各時代において当会議所の会員がまちのためを想って活動してきたからこそ、今があります。歴史、そしてそれを築いてきた人とまちとの繋がりを守っていく事、それこそが私の使命だと今だからこそ実感することができました。60年以上、鎌倉のまちづくりのために活動してきた私たちだからこそ、行政、企業、協働団体、そして全ての市民の皆様とこの鎌倉の未来である、子どもたちを地域一丸となって育てるという意識を持つことで鎌倉青年会議所が目指す明るい豊かな社会にしていきます。

子どもと地域との繋がりが生み出す笑顔なまち

今の子どもたちは自分の地元についてどれだけ知っているのでしょうか。人と人は互いを知れば好意が沸きます。この知るという行為が大切であり地元のことも深く知れば知るほどその地域をもっと好きになる筈です。鎌倉には行政や様々な団体が子育て支援をしており、そこに行けば誰かと時間を共に過ごせる環境が整っています。子どもの居場所においては恵まれた地域であり私が子どもだった頃とは違います。しかしながら、その制度や施設を知らず、物理的にアクセスしにくく、利用しづらいがために利用できていないこともあると思います。地域一体となって子育てする地域になれば、行政や支援団体だけではなくまちの一住民が子どもたちのためになにかしてあげたいと想う人が増え、地域に対しての愛情も強くなると思います。当会議所としてもその制度や団体と繋がりを持ち、その内容や活動を学ぶ機会を提供します。
そして、当会議所設立5周年の記念事業として開催され、当会議所の行うまちづくりの中心的な事業の慈善茶会は本年で57回目を迎えます。これもひとえに毎年お献茶式を行って下さいます茶道裏千家千宗室御家元様をはじめとする御宗家の皆様、毎年素晴らしい会場をお貸しくださり多大なるご協力をいただいております、鎌倉大仏殿高徳院佐藤孝雄御住職様、本事業を開催するに当たりご協力を頂いております地域の協働団体の皆様、当日会場にお越し下さいます皆様、そして関係する全ての方々に対して心より感謝を申し上げます。茶道は一つひとつの所作や行動の中に人を思いやる心と感謝の気持ちがこもっており、世界の中で見てもこれほど他人のことを考えるおもてなしはないと思っています。このおもてなしの心をもって、地域との繋がりを再確認し、子どもたちにもお茶の精神に触れていただきます。お茶を体験することによって、子どもたちに互いを気遣う心を学ぶきっかけを作り、心を通わす喜び、そしてこの先の、人との繋がりの魅力に触れて頂ければと考えます。そんな子どもたちの笑い声が響く中で慈善茶会を開催することで、ご来場頂く皆様も子どもたちから元気をもらい、人との繋がりを感じる事業とさせていただきます。そして、当会議所がこの事業を継続して開催できているのは協同団体の皆様のお陰であり、その感謝を伝える場を作ることで繋がりをより強くしていきます。
最後に、子どもたちが常に笑顔でいるということは誰かと繋がりを感じ、交流している中で喜びを感じている時の気持ちの表れです。それを実現するためには子どもたちに取って常に安心できる居場所が必要です。子どもたちが誰かに会いたいな、遊びたいなと思った時に互いに顔を合わせ、話し合い、笑い合えるような場をもっと身近に感じられるような事業を行います。まちづくりの事業を通して子どもたちがこのまちの事をもっと知り、地域への繋がりを強く持てる環境が整うことで、まちの中で自分の居場所を感じ、地域のイベントや市民と交流する事でその繋がりが更に広がっていき、まち全体が温かく、そして皆が住み暮らしやすいまちに発展していきます。

会員の輪を広げ、地域の未来について考える

当会議所は個性豊かなメンバーが互いに刺激し合い、社会により良い変化をもたらす為に活動しています。その目的に対して全員が同じ方向を向いて切磋琢磨してきたからこそ今の鎌倉青年会議所があり、これは当会議所が始まった1965年から今も変わっていません。このまちの未来を良くしたいという想いに向かって60年以上活動してきた私たちだからこそ、同じ志を持つ仲間を増やし共に成長していかなければなりません。まちに対して真摯に向き合いまちの未来を考え、これから成長し大人となっていく子どもたちの為にも、共に取り組んでいくメンバーが増える事で、子どもたちの笑顔溢れるまちへと発展していくのです。私が当会議所に入会して変わったように、人によってそれが地域との繋がりとは違った部分が変わるかもしれません。しかし、その変わった部分は間違いなくまちの未来を想う心であり、それが自分にとっての成長になると考えます。まちと向き合い本気で活動を行う。私たちと共に様々な課題に立ち向かう。その意義を広く伝え、参加した方が私たちの活動理念に共感し、当会議所を認知する事業を行えば会員の拡大に繋がると思います。
次に、子どもたちの未来を考え、まちの至るところで子どもの元気な声がこだまし、家族で笑いが絶えない。そんなまちを目指すには、他の地域でどのような取り組みをしているか、何が成功して何が効果的ではなかったかを学び、それを鎌倉の市民の皆様と共有する学びの機会を提供します。
そして、ここで得た学びを持って地域との繋がりがある、ない関係なく市民と地域の子どもたちを交えて交流会を行います。この取り組みがまちに伝播し子どもたちがより楽しく安心して生活ができるようになれば、地域に愛着を持つ子どもがもっと増え、子どもたちがまちの事を想って行動するようになり、将来大人になってもまちのために何かしたい、そしてその気持ちをまた次世代の子どもにも感じ、伝えたいと思うようになり、永続的なまちづくりに繋がります。

互いを知り、繋がりを再認識する渉外交流

このまちの未来を考え、その発展を願い、子どもたちがのびのびと成長できるまちにする為には、地域や仲間と共に活動しなければなりません。しかし、これは当会議所が事業を行っていく上で、参加者がどう感じているか、何を求めているのかを知らなければ独りよがりになってしまいます。相手の事を知ろうとすれば、また相手もこっちを知ろうとする筈です。そしてそこから繋がりが生まれ、その繋がりを強く、太くしていくことでまちに対してより効果的な事業を実施することができます。そうする為には直接会って交流する事が第一歩です。また、これを地域の子どもたちに言い換えると、子どもだからと先入観に囚われ、本当に子どもたちが何を考え、どういう悩みをもっているか、それを知る為にはやはり直接交流する機会が必要です。その為渉外交流委員会として積極的にまちの子どもたちを支援している団体やイベントに対して渉外活動を行っていきながらこれまで協力してきた市や教育機関、協働団体と連携を取り課題や目的を共有し活動してまいります。
次に、当会議所としても連綿とバトンが先輩諸氏から受け継がれて今があります。その時代ごとにまちの課題に取り組んできた先人達はまちの歴史はもちろん、現役メンバーとは違った観点からまちのことを見ている為、世代間で当会議所の設立記念日を共に祝い、昨年度のブロック大会並びに周年事業、そして日々現役の活動にご協力いただいていることに感謝を表し、交流する機会を作ることによって現役と先輩諸氏との絆を深め、世代を超えて青年会議所として一丸となれればと思います。
また、本年度も日本青年会議所本会、関東地区協議会、神奈川ブロック協議会により様々な大会が開催される予定となっております。この広がりある組織の中で、会員が事業に参加することで、多くの学びを得る絶好の機会だと考えます。当会議所としても出会いや修練の場として出向するメンバーを支援すると共に、全国の仲間と交流できる機会と致します。
最後に昨年は鎌倉の地で日本青年会議所関東地区神奈川ブロック協議会が主催するブロック大会、鎌倉大会の主管を当会議所が務めさせていただきました。同時に鎌倉のまちの活性化を図るために大船夜市実行委員会と包括的な連携に関する協定書を結び、ブロック大会当日に大船夜市を開催させていただき、その中で様々な繋がりを得ることができました。ブロック大会と大船夜市で得た繋がりを大事にし、地域に賑わいを作り、まちの皆様と交流し繋がりを作れる事業を行い、鎌倉のまちがより一層活性化できる事業を行います。

強固な組織基盤と活動の発信

当会議所は、多種多様な考えを持つ会員が在籍しており、会員が一丸となって活動することでまちに対してより大きな影響を与えることができます。会員たちの考えが同じ方向を向き、事業を行っていく為に理事会を開催し、最高意思決定機関である総会の厳正な運営と共に公益法人会計の規則に則った、適切な財務管理を行うことで当会議所の下支えを行い、強固な組織基盤を築き、会員が当会議所の運営方法に対する信頼関係を構築します。また、本年度においては公益社団法人についての法改正もありその内容を会員と学び、当会議所の運動がより良い物となるよう活用していきます。
初めに、2025年度の第一歩として、まちの皆様とまちの中で子どもたちに支援を行っている団体の方々をお呼びし本年度の活動への理解を深めていただく為の事業を行います。次に、当会議所の運動を継続して行っていくために、次年度体制が産声を上げる瞬間を先輩諸氏と共に祝うことにより、メンバー全員が本年度だけでなく未来にも目を向ける機会を作ります。年末においては、共に青年会議所運動を行った卒業生たちと交流し、今までの青年会議所活動でどのようなことを学び、経験してきたか。それを共有しこの先に活かしていけるよう、先輩諸氏と共に、感謝とお祝いの意味を込めて、卒業生を送る会を開催します。最後に、どれだけ会議を重ねて事業を構築したとしてもそれがまちの皆様に伝わらなければ全く意味がありません。当会議所の活動に賛同し、共感してくれる人との繋がりを増やす為にも広く発信していくことが重要です。SNSやホームページに情報を単に載せるだけではなく適格に、そして観る人の興味を掻き立て、ワクワクさせる内容で発信することによりまちへと当会議所の活動を理解していただきます。又、地域への子どもたちに情報発信をしようと考えた場合、SNSやホームページではなく新しい形で情報を拡散する方法を模索し、まちの未来を想う人や地域への繋がりを感じる子どもがひとりでも増やせればと考えます。

おわりに

子どもたちはまちの宝であり、まちの未来です。そんな彼らが健やかに成長し、豊かな経験を積むことで、地域全体の発展と持続可能な未来が築かれます。私が鎌倉青年会議所に入会したことによって得られた繋がりをこのまちの子どもたち全員に持ってほしい。それは私の原体験があったからこそできると思っています。そしてそれは同時に子どもたちが安心して育つ環境を整えることに繋がりそして永続的なまちづくりに繋がると信じています。地域全体が一丸となり、子どもたちを支え、育てることで、鎌倉のまちはさらに豊かで活力ある場所にすることができます。これからも、行政、企業、協働団体、そして市民の皆様と手を取り合い、私たちの活動が、子どもたちの未来を明るく照らし、地域全体の発展に寄与していきます。
私はこのまちが大好きです。
鎌倉青年会議所に入り、自分の居場所そして一生涯の仲間、友達ができました。このまち、この仲間と共に私は様々な苦楽を共にし、それが今の私を形作っているといっても過言ではありません。その仲間たちと一緒に活動できるこの一年が楽しみでなりません。60年以上紡がれてきた想い、そしてこの大役を真摯に受け止め、今まで活動してきた中での出会いと繋がりを大事にして、精一杯活動していきます。

We Are One!
1年間どうぞ、よろしくお願いいたします。